夏至とは
この章では、「夏至」の基本的な捉え方を整理します。
最初に特徴を押さえることで、夏至の日付や昼の長さ、冬至との違い、地域に残る風習についても理解しやすくなります。
夏至の日の特徴
一年で最も昼の時間が長い日

夏至とは、一年の中で最も昼の時間が長くなる日のことです。
ここでいう昼の時間とは、日の出から日の入りまでの時間を指します。
日本では毎年6月21日頃に夏至を迎えます。
この時期は、太陽が出ている時間が長くなるため、朝が早く明るくなり、夕方も遅い時間まで明るさを感じやすくなります。
北半球では昼が最長、南半球では昼が最短になる
夏至は、地球上のどこでも同じように昼の時間が最も長いわけではありません。
日本を含む北半球では、夏至の日に昼の時間が一年で最も長くなります。
一方で、オーストラリアやニュージーランドなどがある南半球では、夏至にあたる時期は反対に昼の時間が最も短くなります。
これは、地球が少し傾いた状態で太陽の周りを回っているためです。
つまり、北半球で夏至を迎える頃、南半球では冬至に近い状態になります。
そのため、日本では夏至が本格的な夏の訪れを感じる時期である一方、南半球では冬の季節にあたります。
National Geographic Education「Solstice」
夏至の読み方と意味
夏至は「げし」と読み、昼の長さが一年で最も長くなる時期を表す
夏至は「げし」と読みます。
「至」という字には、ある状態が極まるという意味があります。
夏至という言葉は、夏の季節の中で太陽の動きがひとつの節目を迎えることを表しています。
夏至は二十四節気のひとつ

夏至は、二十四節気のひとつです。
二十四節気とは、一年を24に分けて季節の移り変わりを表した暦の考え方です。
立春、春分、立夏、夏至、秋分、冬至なども二十四節気に含まれます。
昔の日本では、農作業や暮らしの目安として二十四節気が使われてきました。
夏至もそのひとつで、太陽の動きと季節の変化を知るための大切な節目です。
夏至の日付

夏至は毎年同じ日に訪れるわけではないため、その年の日付を確認しましょう。
この章では、2026年の夏至がいつなのかを確認し、あわせて夏至の日付が年によって変わる理由を整理します。
2026年の夏至はいつ?
2026年の夏至は6月21日
2026年の夏至は、6月21日(日)です。
国立天文台が発表している2026年の夏至は6月21日、時刻は17時25分と示されていますが、これは、天文学上で夏至となる瞬間の時刻です。
(参考)国立天文台「令和8年(2026)暦要項 二十四節気および雑節」
毎年6月20日から22日頃の間で変わる
夏至の日付は、毎年同じ日付というわけではありません。
日本では、夏至はおおむね6月20日から22日頃の間で変わります。
これは、地球が太陽の周りを回る周期と、私たちが使っている暦の1年が完全には一致しないためです。
うるう年などで暦を調整しているため、夏至の日付も年によって少しずつ変わります。
夏至と冬至との違い

夏至と対になる暦として、冬至があります。
夏至と冬至を比べると、昼と夜の長さや太陽の高さが、季節によってどのように変わるのかが分かります。
この章では、夏至と冬至の関係を整理しながら、夏至の特徴をより分かりやすく解説します。
昼と夜の長さが異なる
夏至は昼が最長、冬至は昼が最短になる
日本を含む北半球では、夏至は一年で最も昼の時間が長く、夜の時間が短くなる日です。
一方、冬至は一年で最も昼の時間が短く、夜の時間が長くなる日です。
つまり、夏至と冬至は、太陽の出ている時間が一年の中で最も長くなる日と、最も短くなる日という関係にあります。
夏至の南中高度
日本を含む北半球では、夏至の頃に南中高度が一年で最も高くなる

南中高度とは、太陽が真南に来たときの高さのことです。
日本を含む北半球では、夏至の頃に太陽の南中高度が一年で最も高くなります。
つまり、夏至の頃は、太陽が一年の中でも高い位置まで昇る時期です。
国立天文台では、夏至のときの太陽の南中高度を「90 − その場所の北緯 + 23.4」で求めると説明しています。
冬至のときは「90 − その場所の北緯 − 23.4」となるため、夏至の頃は冬至の頃に比べて太陽がかなり高い位置に昇ることが分かります。
この太陽の高さの違いが、季節ごとの明るさや日差しの感じ方にもつながっています。
太陽が高く昇るため昼の時間が長くなる
夏至の頃に昼の時間が長くなるのは、太陽が高く昇るためです。
つまり南中高度が高くなると昼は長く夜は短くなり、反対に南中高度が低くなると昼は短く夜は長くなります。
そのため、日本では夏至の頃に朝早くから明るくなり、夕方も遅い時間まで明るさが残りやすくなります。
夏至の日の出・日の入りと昼の長さ
夏至の昼の長さは地域によって変わる
東京は約14時間30分、札幌は約15時間20分、沖縄は約13時間45分になる
夏至の昼の長さは、日本国内でも地域によって異なります。
| 都市 | 日の出時刻 | 日の入り時刻 | 昼の長さ |
| 東京 | 4時25分 | 19時00分 | 約14時間35分 |
| 札幌 | 3時55分 | 19時18分 | 約15時間23分 |
| 那覇(沖縄) | 5時37分 | 19時25分 | 約13時間48分 |
2026年の夏至にあたる6月21日で見ると、東京では日の出が4時25分、日の入りが19時00分頃です。
そのため、昼の長さは約14時間35分になります。
札幌では、日の出が3時55分、日の入りが19時18分頃となり、昼の長さは約15時間23分です。
東京よりもさらに昼の時間が長くなります。
一方、沖縄県の那覇では、日の出が5時37分、日の入りが19時25分頃で、昼の長さは約13時間48分です。
このように、同じ夏至の日でも、北にある地域ほど昼の時間が長くなります。
日本では札幌のような北の地域ほど夏至の昼が長く、沖縄のような南の地域では昼の長さが比較的短くなります。
(参考)国立天文台「日の出入り@東京(東京都) 令和8年(2026)06月」
国立天文台「日の出入り@札幌(北海道) 令和8年(2026)06月」
国立天文台「日の出入り@那覇(沖縄県) 令和8年(2026)06月」
夏至と日の出・日の入りの関係
夏至は日の出が一年で最も早い日とは限らない
夏至は一年で最も昼の時間が長い日ですが、日の出が一年で最も早い日とは限りません。
日本では、日の出が最も早い日は、夏至よりも1週間ほど前になることが多いとされています。
夏至の日は昼の時間が最も長くなるため、「日の出も一番早い」と思われがちですが、実際には少しずれが生じます。
これは、太陽が南中する時刻が日によって少しずつ変わるためです。
夏至は日の入りが一年で最も遅い日とは限らない
夏至は、日の入りが一年で最も遅い日とも限りません。
日本では、日の入りが最も遅い日は、夏至よりも1週間ほど後になることが多いとされています。
夏至を過ぎると昼の時間は少しずつ短くなりますが、日の入りの時刻だけを見ると、夏至の後もしばらく遅くなる場合があります。
これは、日の出と同じく、太陽の南中時刻が少しずつ変化するためです。
昼の長さが短くなり始めても、日の出と日の入りの時刻が同じように早まるわけではありません。
つまり、夏至は「日の出が最も早く、日の入りが最も遅い日」ではなく、「日の出から日の入りまでの時間が最も長い日」と考えると分かりやすいでしょう。
(参考)国立天文台「1年のうちで、日の出、日の入が一番早い日(遅い日)はいつ?」
夏至の頃に食べるものと地域の風習
半夏生に食べるもの
関西ではタコを食べて稲の根がしっかり張ることを願う

関西では、半夏生にタコを食べる風習があります。
半夏生は、夏至から数えて11日目頃にあたる時期です。
田植えを終えた稲が、タコの足のように大地へしっかり根を張るようにという願いを込めて、タコが食べられてきました。
この風習には、秋の豊作を願う意味もあります。
タコは、田植えを終えた後の農作業の区切りに食べられてきた、稲作文化と結びついた行事食といえます。
(参考)大阪府「旬の食材 マダコ」
奈良では小麦餅を食べて田の神へ感謝する

奈良では、半夏生の頃に「半夏生餅」や「小麦餅」を食べる風習があります。
半夏生の時期は、小麦の収穫が終わり、田植えも一段落する頃にあたります。
そのため、収穫した小麦ともち米を使って餅を作り、田の神へ感謝する行事の中で食べられてきました。
半夏生餅は、田植えが無事に終わったことへの感謝と、これから稲がしっかり育つことへの願いを込めた食べ物です。
(参考)農林水産省「うちの郷土料理 半夏生餅/小麦餅/さなぶり餅 奈良県」
香川ではうどんを食べて農作業の区切りを迎える

香川県では、半夏生にうどんを食べる風習があります。
香川県の農村では、麦刈りから田植えまでの忙しい農作業が一段落する半夏生の日に、農作業を手伝ってくれた人たちへ、その年に収穫した新麦で作ったうどんを振る舞う風習がありました。
この風習は、農作業の区切りを迎えたことへの感謝と、収穫した小麦への感謝を表すものです。
現在、香川県では半夏生の頃にあたる7月2日が「うどんの日」とされ、うどん文化と季節の節目が結びついています。
(参考)香川県「7月2日は『うどんの日』!『本場さぬきうどん協同組合』が献麺式と『さぬきの夢』フェアを開催します」
6月30日夏越の祓に食べるもの
京都では水無月を食べて暑気払いと無病息災を願う

京都では、6月30日の「夏越の祓」に合わせて、水無月を食べる風習があります。
水無月は、白いういろう生地の上に小豆をのせ、三角形に切り分けた和菓子です。
三角形は暑気を払う氷を表し、小豆の赤色には邪気払いの意味が込められているとされています。
夏越の祓は、1月から6月までの半年間の罪穢れを祓い清め、残り半年を健やかに過ごせるよう願う神事です。
そのため、水無月は暑さをしのぐ意味だけでなく、無病息災を願う行事食として受け継がれてきました。
日本と世界の夏至祭
日本の神社で行われる夏至祭
二見興玉神社では夫婦岩の前で夏至祭と禊を行う

三重県伊勢市の二見興玉神社では、夏至の日に「夏至祭」が行われています。
二見興玉神社は、夫婦岩で知られる神社です。
夏至の頃には、夫婦岩の間から昇る朝日を拝むことができるとされ、古くから太陽を拝する場所として大切にされてきました。
二見興玉神社の夏至祭では、日の出前に祭典を斎行し、その後、禊を行います。
海に入り、心身を清めながら、昇る朝日を拝むのが大きな特徴です。
太陽の恵みに感謝し、祓い清めを通して心身を整える神事として受け継がれています。
(参考)二見興玉神社「夏 夏至祭」
吉備津彦神社では夏至の日の出祭で朝日を拝む二見興玉神社

岡山県岡山市の吉備津彦神社では、夏至の日の早朝に「夏至日の出祭」が行われています。
吉備津彦神社は、夏至の日に朝日が正面鳥居の上から昇り、社殿の中に光が差し込むように造られていると伝えられています。
そのため、「朝日の宮」とも呼ばれています。
(参考)岡山市観光情報「夏至 日の出祭」
外国の夏至祭
スウェーデンでは花冠やメイポールの踊りで夏至を祝う

スウェーデンでは、夏至の頃に「ミッドサマー」と呼ばれる伝統行事が行われます。
ミッドサマーは、昼の時間が長くなる6月下旬に夏の訪れを祝う行事です。
人々は花を摘んで花冠を作り、身につけて一日を過ごします。
また、草花で飾られたメイポールの周りで踊ることも、スウェーデンの夏至祭を象徴する風景です。
家族や友人と集まり、食事を囲んでゆっくり過ごすことも大切にされています。
ニシンや新じゃが、いちごなど、季節の食べ物を楽しみながら、明るい夏の時間を味わいます。
(参考)Visit Sweden「Midsummer in Sweden – all you need to know」
イギリスのストーンヘンジでは夏至の日の出を迎える

イギリスのストーンヘンジでは、夏至の日の出を迎える行事が知られています。
ストーンヘンジは、イングランド南部にある古代の石造遺跡です。
夏至の朝には、太陽がヒール・ストーンと呼ばれる石の方向から昇り、遺跡の中心へ光が差し込むように見えるとされています。
そのため、夏至の時期には多くの人がストーンヘンジに集まり、夜明けを待って日の出を迎えます。
日の長さが最も長くなる夏至を、太陽の動きと結びつけて感じられる場所として、現在も多くの人に親しまれています。