神道大全

ご祈祷とは?〜日本人なら知っておきたい神社のご祈祷〜

ご祈祷とは

ご祈祷を行う神職と巫女

「ご祈祷」の読み方

読み方は「ごきとう」

「ご祈祷」は「ごきとう」と読みます。

このほかにも、ご祈祷は「ご祈願(ごきがん)」や「お祓い(おはらい)」と呼ばれることがあります。

当社では、ご祈祷・ご祈願とは、神職とともに願い事を神様にお伝えする儀式を指し、「お祓い」は主に心身や身のまわりを清めることとご説明しています。

名称は異なっていても、いずれも神様と向き合い、祈りを捧げる大切な神事です。

ご祈祷とは何をする?

より丁寧なお参り方法

参拝が、参拝者自身が神様に感謝や願いを伝える行為であるのに対し、ご祈祷は、神職が正式な儀式として祝詞を奏上し、願いを神様にお届けするものです。

ご祈祷では、参拝者が自ら手を合わせて祈ることに加え、神職によるお祓い、祝詞奏上、玉串奉奠など、個人で行うことが難しい一連の儀式を、神職とともに執り行います。

そのため、ご祈祷は通常の参拝に比べ、より丁寧で正式なかたちで神様に向き合い、祈りを捧げる機会となります。

(参考)東京都神社庁『参拝と祈祷

神様にお願いを聞き届けてもらうもの

神職には「神様と参拝者との間を取り持つ」という役割があります。いわば、神様と私たちをつなぐ架け橋です。

この架け橋としての神職を通すことで、参拝者が一人でお願いする場合よりも、より丁寧で正式なかたちで神様に願いをお伝えすることができます。

その代表的なものが[祝詞奏上(のりとそうじょう)]です。祝詞奏上では、神職が参拝者に代わり、神様へ願い事を言葉として奏上します。

また[玉串奉奠(たまぐしほうてん)]は、神様に願いを申し上げる際の正式な作法に則った儀式であり、心を込めて祈りを捧げる大切な行為です。

これらの儀式を通して、神職は神様と参拝者との間を結び、祈りを形にしていきます。

(参考)長野県神社庁『神社用語

祈祷は誰が行うものなのか?

あらゆる立場の方

ご祈祷は本来、国家の安泰や五穀豊穣を願うためのものであり、国の政治や祭祀に関わる限られた人々によって行われてきました。

しかし、時代の変遷とともにその在り方は変わり、現在では身分や立場に関わらず、誰もが受けることのできるものとなっています。

たとえば、天皇陛下は今もなお、国や国民、さらには世界の平安を願い、ご祈祷を続けておられます。一方で、公的な立場にある方だけでなく、日々の暮らしの中で節目や願いを抱く一般の人々も、それぞれの思いを込めてご祈祷を行っています。

このように、ご祈祷は時代を超えて形を変えながらも、人と神様を結ぶ大切な祈りの場として受け継がれてきたのです。

赤ちゃんからお年寄りまで

ご祈祷にはさまざまな種類があり、赤ちゃんからご高齢の方まで、人生の各段階に応じたものが行われています。

たとえば、生まれて間もない赤ちゃんには、生後およそ一か月を目安に行う初宮参りがあり、健やかな成長を願います。一方で、ご高齢の方には、古稀や喜寿などの歳祝いのご祈祷があり、これまでの歩みに感謝し、今後の健康と長寿を祈ります。

さらに、ご祈祷は年齢に限らず、時期や状況に応じて行うこともできます。正月には家内安全を願うご祈祷、仕事や勝負事の節目には商売繁盛や必勝祈願など、その時々の願いに合わせたご祈祷を受けることができます。

このように、ご祈祷は人生の節目や日常のさまざまな場面に寄り添い、願いや感謝を神様にお伝えするための大切な機会となっています。

ご祈祷はどの宗教の行為なのか?

“神道”の行為

神社で行われるご祈祷は、「神道」という宗教にもとづく行為です。

神道は、日本で生まれ、日本にのみ受け継がれてきた宗教であり、自然や暮らしの中に神様を見いだす信仰として発展してきました。

神社におけるご祈祷では、神様と参拝者との間を取り持つ存在である神職が、参拝者の願いを祝詞として整え、神様にお伝えします。
このように、神職を介して願いを届けることが、神社で行われるご祈祷の基本的な流れとなっています。

お寺で行う祈祷は“仏教”の祈祷

お寺の宗教は仏教で、そこに祀られているのは仏様です。

仏教は、紀元前6〜5世紀ごろにインドで誕生した宗教で、教えや修行を通して悟りを目指す思想として広まりました。

お寺で行われるご祈祷では、僧侶が参拝者の願いを仏様へ取り次ぎます。儀式の中心となるのは読経であり、宗派によっては護摩壇を用いた護摩修法や、印契・真言、木剣を用いるなど、さまざまな作法が行われます。

このように、同じ「祈り」であっても、神社とお寺では信仰の背景や儀式の形に違いがあります。

ご祈祷の成り立ち

[古代〜奈良]国家的な儀礼として行われていた

ご祈願はもともと、個人のためでなく国のために行うものでした。

なかでも「国家安泰」「五穀豊穣」「天候安定」など公共性の高い祈願が全国の神社で執行されており、一般の人々はご祈祷にはあまり関わっていませんでした。

[平安時代中期頃〜]個人のための祈祷が行われるように

平安中期以降、神職とは別に「祈祷師」と呼ばれる人々が現れ、貴族や武士の間で個人的な祈祷を行うようになりました。その内容は、病気平癒や厄除けなど、個々の事情に寄り添ったものが中心であったとされています。

その後、明治時代に入ると、神仏判然令や神社合祀令といった政府による宗教政策の影響を受けながらご祈祷の在り方は大きく変化し、現在の神職が執り行うご祈祷の形へと整えられていきました。

このように、ご祈祷は時代や社会制度の変化に応じて姿を変えながら、今日まで受け継がれてきたのです。

(参考)神社本庁『神社でのご祈願

ご祈祷の種類

七五三参りを行う家族

厄除け

厄除け祈願とは、人生の節目や特定の年齢に訪れる「厄年(やくどし)」を中心に、災いや悪いものを退け、平穏無事に過ごせるよう神様にお祈りする儀式です。

厄年に当たる方はもちろん、厄年に当たらない方も受けることができます。

家内安全

ご家族やご自宅が一年を通じて平穏で健康に過ごせるように、災いを祓い清め、神様の御加護をいただくための祈願です。

ご家庭は「社会の最小単位」でもあります。ご家庭の不安はすなわち、ご自身の足元の不安にも繋がりかねませんので、年始や期始めなどに家内安全の祈願を受けてみてはいかがでしょうか。

交通安全

車やバイクなどの乗り物を利用する際、または子どもの通学やお仕事の通勤など、日々欠かせない「移動」の安全を神様にお祈りするご祈願です。

現代は交通網の発達により移動の負担が大きく減りました。しかし、江戸時代など過去においては、特に長距離の移動は、多くの危険を伴うものでした。

交通安全祈願は、人々の切実な願いが詰まった古くからのご祈願なのです。

安産

赤ちゃんがお母さんのお腹に宿ったことを神様に感謝し、出産までの期間を母子ともに健やかに過ごせるよう祈るご祈願です。無事に出産を迎えられるよう、古来より多くの方がお受けになっています。

特に戌(いぬ)の日には、多くの安産祈願の参拝があります。

犬は多産かつ安産であることから「安産の守り神」とされており、戌の日は安産に縁起の良い日とされています。

(参考)産泰神社『安産祈願

初宮参り

「初宮参り(はつみやまいり)」とは、赤ちゃんが誕生して初めて神社にお参りし、無事に生まれたことを神様に感謝するとともに、健やかな成長を祈るご祈願です。

一般的に男の子は生後31日目、女の子は生後33日目に参拝する慣習が多いです。ただし、母子の体調や天候に合わせて柔軟に日程を選びましょう。

(参考)神社本庁『出産と育児に関する神事

七五三参り

3歳・5歳・7歳という節目の年齢を迎えた子どもの健やかな成長を神様に感謝し、これからの無事とさらなる成長を祈るご祈願です。

現代でこそ人々の栄養状態や衛生環境も向上しましたが、それまでは乳幼児の死亡率が高く、子供が無事に成長すること自体がおめでたいことでした。

そのため、一定の年齢で子どもの成長をお祝いする七五三祈願が定着したのです。

一般的に男の子は3歳と5歳、女の子は3歳と7歳で行います。

3歳は髪置きの儀、5歳は袴着の儀、7歳は帯解きの儀とも言われ、子どもの成長を祝う通過儀礼という側面があります。

商売繁盛

商売や事業を営む方が、商売や事業の益々の繁盛、顧客との良縁などを願い、神様に祈りを捧げるご祈願です。

年のはじめや、新しい挑戦の節目などに多くの方がお受けになります。

稲荷神社をはじめ、もともと五穀豊穣を祈ってきた神社では、時代の変化に合わせて祈りを“生業の繁栄”へと広げ、現在は「商売繁盛」のご利益も掲げるところが少なくありません。

会社安全

会社安全祈願とは、企業や事業所が、事故や災害がなく安全に業務が行えることや、社員や従業員の無事をお祈りするご祈願です。

年始や期始めなど節目に多くの会社がお受けになります。

工事安全

工事安全祈願とは、建設・土木・解体などの工事現場で「無事故・無災害」で工事が進み、関係者の健康と工事の円滑な進行、無事竣工を願うご祈願です。

現場において「地鎮祭」という形で斎行される場合もあります。

その他のご祈祷

その他にも、学業成就、八方除、良縁祈願など一人ひとりのお願い事に沿った様々なご祈願があります。

神社ごとに用意している祈祷の種類は違うため、直接問い合わせれば、お願いに適したご祈祷を案内してもらえます。

ご祈祷の流れ

受付、初穂料を納める

申込用紙の記入

電話やホームページからの事前予約、または神社で直接申し込む場合もありますので、ご予定の神社の受付方法を確認しておきましょう。

また、初穂料はこの時に納めます。領収書が必要な場合は、申し出れば用意してくださいます。

神社へ納めるご祈祷の料金のことを「初穂料」といいます。もともとはその年に初めて収穫した稲穂(初穂)を神様にお供えしていたことが由来で、時代の流れとともにお米でなく現金へと変わっていきました。

(参考)神社本庁『初穂料・玉串料のマナー

待合所で待機

祈祷待合所で、自分の順番を待ちます。

神社の方からご案内していただけますので、呼ばれたらすぐわかるように、なるべく待合所内で待ちましょう。

拝殿へ移動

神職や巫女さんが拝殿へ案内してくださいます。

ここから先はご神前ですので、心静かに進みましょう。

修祓(しゅばつ)

神職による修祓

神職がお祓いの詞を奏上し、お清めを行います。

大麻(おおぬさ)と呼ばれる祓いの道具で、授与品と参列者のお祓いを執り行います。

祝詞奏上(のりとそうじょう)

神職による祝詞奏上

参拝者の願いが叶いますよう、神職が祝詞を奏上します。

祝詞は、願い事の内容に応じてそれぞれ異なるものが用いられ、主に大和言葉で書かれています。大和言葉とは、漢語や外来語を除いた日本固有の言葉のことです。

そのため、神職が祝詞を奏上する言葉に耳を傾けてみると、言葉の意味が感じ取れることもあるでしょう。

玉串お供え

玉串のお供え

玉串と呼ばれる榊の小枝を、神様にお供えします。

  1. 神職から玉串を受け取り、お供えの机の前まで進みます。
  2. 玉串を時計回りに回して根元を御神前へ向けます。
  3. 机の上に置いてお供えします。
  4. 二礼二拍手一礼の作法で拝礼します。

授与品の受取

授与品としていただく御札

授与品には、御札・お守り・お神酒をはじめとする撤下の品があります。

御札は、神棚、または目線より高い清浄な場所にお祀りしましょう。その際、東か南を向くように祀るのが作法とされています。

お守りは、できるだけ身につけてお持ち歩きください。

また、お神酒などの撤下の品は、神様への感謝の気持ちを込めて、なるべく早めにいただくようにしましょう。

(参考)警固神社『祈願の流れ

ご祈祷のマナー・服装

フォーマルを基本とし、カジュアルを最小限に抑えた服装

 【男性】シャツやジャケット、シンプルなスニーカーや革靴など

ご祈祷を受ける男性の服装例

神職は、神様に向き合う際、目上の方に接するのと同じように身だしなみを整え、正装で奉仕します。私たちがご祈祷を受ける場合も、ご神前という神聖な空間にふさわしい、落ち着いた服装を心がけましょう。

シャツやジャケットなど、仕事の場でも着用できる服装であれば、ご神前においても神様に失礼にあたることはありません。

また、履物はサンダルのようなカジュアルなものは避け、革靴や装飾の少ないシンプルなスニーカーを選ぶとよいでしょう。

【女性】シンプルなワンピースや、淡い色合いのシャツなど

ご祈祷を受ける女性の服装例

服装は、カラフルな色合いよりも、モノトーンや淡い色のものを選ぶことで、カジュアルな印象を抑えることができ、ご神前においても違和感のない装いとなります。

具体的には、ワンピースやシャツなど、フォーマルな場にもふさわしい服装を選び、落ち着いた身だしなみを心がけましょう。

ご祈祷のマナー

携帯電話はマナーモードに

携帯電話は、あらかじめマナーモードに設定するか、電源を切るなどして、音が鳴らないようにしておきましょう。

ご祈祷中に着信音などが鳴ってしまうと、神前の厳かな雰囲気を損ねるだけでなく、他の参拝者に対しても失礼にあたりますので、十分にご注意ください。

撮影のルールは確認しましょう

ご祈祷中の撮影は、基本的にご遠慮ください。

撮影は、他の参拝者のご迷惑になるおそれがあるほか、神様の尊厳を損ねてしまうことにもつながります。特に、ご祈祷が行われる場所やご神前での撮影は控えるようにしましょう。

また、出張カメラマンを依頼しての撮影可否についても、神社ごとに対応が異なります。撮影を希望される場合は、事前に神社へ確認することが大切です。

初穂料を準備しましょう

初穂料を入れたのし袋

初穂料は、そのまま神社へお納めしても差し支えありませんが、のし袋に入れてお納めすると、より丁寧な形となります。

のし袋を用いる場合、表書きには「初穂料」「御神前」「玉串料」などと記入します。特別なものを用意する必要はなく、コンビニなどで販売されている一般的な祝儀袋で問題ありません。

(参考)東京都神社庁『のし袋の表書きはどのようにしたらいいですか

予約が必要なのか確認しておきましょう

ご祈祷の受付方法は、神社によって異なります。

電話やホームページからの事前予約が必要な場合もあれば、当日申し込みのみ受け付けている場合、あるいは事前予約と当日受付の両方に対応している場合など、その形態はさまざまです。

また、祭典が執り行われる日には、ご祈祷を受けられないこともあります。参拝を予定している神社がどのような受付方法を採っているのか、あらかじめ確認しておくと安心です。

よくあるご質問
ご祈祷って何をするの?
ご祈祷は、神職とともに行う丁寧なお参りです。私たちの願い事を、神職といっしょに神様にお伝えするものです。
ご祈祷はどうやって申し込むの?
電話やホームページから事前予約もしくは神社で直接申し込むかのいずれかです。
神社によって受付方法は異なりますので、直接問い合わせてみましょう。
ご祈祷の料金はいくら?
多くの神社では5000円〜10,000円と定められています。ただし神社によっては金額の定めのない神社もありますので、申込時に確認しましょう。
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