神社とは何か?

基本的な定義
日本固有の神々を祀る場所
日本人は、日々の生活の中で目に見えない大きな力を感じてきました。それは岩や木、山や海、火や水など様々な自然の中に見出され、あらゆるものに神様が宿るとして祀られるようになりました。
神社とは、そのような神様たちを現代でも大切にお祀りしている場所です。
(参照)神社本庁公式ホームページ『神社について』
神社とは建物だけを指すのでなく、「場」全体を指す
神社といえば、境内に本殿や社務所など様々な施設がありますが、神様のいらっしゃる本殿だけを神社と指すのではなく、境内も含め「場所全体」を神社と指します。
鳥居をくぐり境内に入れば、そこはもう神様のいらっしゃる神聖な空間なのです。
神社の役割
神様と人を結ぶ「祭祀(さいし)施設」
元来神社では、国家の安全や天候の安定など、公共性の強いお祈りを行ってきました。
これは神様と人とを結ぶ役割を果たし、関係を取り持つ働きを担いました。
このように神様に対してお祈りをする際に、野菜や果物などの食べ物、または舞などを奉納し、それから神様にお願いごとをする、この一連の儀式を「祭祀(さいし)」といい、神社で古くより行われてきました。
祭りを通じたコミュニティの形成
地域社会において「祭り」とは単なる神社の行事にとどまらず、人と人を結びつけるコミュニティの役割を果たします。
神社には、鎮座区域に居住する地域住民を「氏子」といい、祭りの際には神社と氏子が連携し祭りを作り上げます。
この過程で人と人のつながりが生まれ、地域のコミュニティが形成されます。
(参考)國學院大學メディア『単なるパワースポットではなく地域のアイデンティティとしての神社』
神社の基本を徹底解説
神社の宗教“神道”とは
日本固有の宗教
神道とは、世界中で日本にしか存在しない宗教です。
日本人が生活の中で生み出してきた思想を体系化した集大成が「神道」であるため、唯一日本人だけの民族宗教です。
日本以外に、ハワイやブラジルのサンパウロなどにも神社が存在しますが、そのほとんどが太平洋戦争前後に海を渡った日本人が故郷である日本を思い、心の拠り所として建立されているものです。
(参考)『ハワイ出雲大社』

自然や祖先を敬う「八百万(やおよろず)の神」
「八百万(やおよろず)」とは、「800万」という意味ではなく、「数え切れないくらいたくさん」という意味を持ちます。
日本人は、長きにわたる生活の中であらゆる自然のものから神様の力を感じ、見出してきました。その対象は、海や川、岩や木、水、火などあらゆるものに至ります。
このことから、神道では神様は数え切れないくらいたくさんいらっしゃる、という意味から「八百万の神」と呼ばれています。
(参照)鳥取県神道青年会『いろいろな神様たち』
教典や開祖を持たない
神道には、仏教やキリスト教に存在するような教典や開祖という存在がありません。
例えば、仏教であれば紀元前5世紀頃インド北部で生まれたブッダという方が、悟りを開いた後、弟子たちに教えを説いて回ったものが仏教の起源です。そのブッダの言葉を弟子たちが伝え、まとめたものが教典とされています。
キリスト教も同様に、紀元1世紀ユダヤ地方に生まれたイエス・キリストが開祖として、また聖書という教典が存在します。
しかし神道は、日本列島で時間の経過とともに自然発生的に起こり、形作られていったものなので、開祖も教典も存在せず、日本人の生活や思考様式に沿った宗教として確立されました。
(参考)北海道神社庁『神社庁とは』
神社の起源:いつ、どのようにして生まれたのか?
はじめは、樹木や岩石に神様を招き、祀っていた
神社はいつ頃から出来たのか、実はその起源は明らかになっていません。
神社は日本列島において自然発生的に形作られてきたため、起源を明確に特定することはできませんが、稲作が本格化する弥生時代と、それ以前の縄文時代ごろから原型が存在していたとする説が有力です。
この頃は、現在のような建物に神様を祀っていたわけではなく、大本や巨岩あるいは山などが、神さまが降りられる場所と考え、その場所を神聖な場所として、神様をお祀りしていました。
(参考)東京都神社庁『神社神道の歴史』

6〜7世紀頃から現在のような社殿が造営され始めた
6〜7世紀頃から、仏教の影響を受けながら次第に社殿が造営されるようになりました。
7世紀になり奈良時代に入ると、律令制度が整います。朝廷は人々を掌握するために、神社を組織化することを考えました。次第に人々が集まる場所である神社は、立派な建物が建てられるようになりました。
(参照)宮地嶽神社公式ホームページ『神社の歴史』
全国にある神社の種類
稲荷神社
衣食住を司り生活全般の守護神として崇敬されています。
全国に30,000社あるといわれ、総本宮は京都市に鎮座している伏見稲荷大社です。
(参考)祐徳稲荷神社公式ホームページ『祐徳稲荷神社について』
一の宮
一の宮(いちのみや)とは、律令制時代に定められた“国”ごとのなかで、最も格式が高いとされた神社のことを指します。
現在の日本は47都道府県がありますが、当時の“国”は68カ国あり、それぞれに一の宮がありましたが、時代の変化とともに入れ替わったり複数存在するようになった場合もあります。
(参考)櫻井子安神社『神社の一の宮とは?』
八幡宮
大分県の宇佐神宮が起源とされ、全国的に多くの八幡宮があります。
応神天皇や神功皇后をお祀りしており、八幡神社や八幡さまとも親しまれている神社もあります。
天満宮
菅原道真を御祭神として祀っている神社で、全国に天神さまや天満宮と名前のつく神社があります。
道真公は生前英知に優れていたことから、今では学問の神様として信仰を集めています。

その他
その他にも住吉神社やお諏訪さま、また社格として「総社(そうしゃ)」という種類など、多くの神社の種類があります。
神社の境内の基本構造と各施設の役割
鳥居の役割と種類

俗界と神域の境界線
鳥居は神社の内と外を分ける境に立てられ、内側は神様のいらっしゃる神聖な場所とされています。
また、本殿がなく山など自然物を御神体としてお祀りしているような神社では、その前に鳥居が建てられている場合もあります。
通り入る説と鳥の止まり木説
鳥居の起源については、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天の岩屋戸にお隠れになった際に、八百万の神々が鶏を鳴かせましたが、この時鶏が止まった木を鳥居の起源であるとする説や、「通り入る」という言葉が語源になった説などがあります。
(参考)神社本庁『鳥居について』
手水舎の役割と作法

手と口を洗うことで心身を清める場所
手水舎とは、参拝前や神事に参列する前に、手と口を清めるための場所です。
参道沿いに設置されていることが多く、こちらで清めてから参拝しましょう。
手を拭くものは設置されていないことが多いので、あらかじめハンカチなどを取り出してから手水を行うと、スムーズに手を拭くことが出来ます。
手水の正しい作法は、左手、右手、口、左手の順番で清める
手水の正しい作法は、このとおりです。
- まず右手で柄杓を持ち、たっぷりと水を汲み、左手を清めます。
- つぎに柄杓を左手に持ち替え、右手を清めます。
- 再び柄杓を右手で持ち、左手に少量の水を注ぎ、口を軽くすすぎます。このときに柄杓に直接口をつけないようにしましょう。
- 残った水で柄杓の柄を洗い、元の位置に戻します。
ただし、神社によっては柄杓が置かれておらず、水が自動的に出てくる手水舎もあります。
そのような場合も、正しい作法があります。
- まず両手を清め、
- つぎに左手に少量の水を注ぎ、口を軽くすすぎます。
- 最後に両手をもう一度清めます。
本殿(ほんでん)と拝殿(はいでん)

神様がお鎮まりになる場所
御本殿は、神様がお鎮まりになっている場所で、神社の最も大切な場所です。
御拝殿とは別に設けられていることも多く、通常私たちが参拝をする場所は御拝殿で、御本殿はその奥に設けられている場合があります。
お参りやご祈祷、神事を行う
御本殿の前にあり、拝殿という名前の通り「拝礼を行う場所」として、参拝やご祈祷などを行います。
御本殿より手前にあるため、参拝者には最も目につきやすい建物です。
その他の主な施設
摂社・末社

神社の境内には本殿以外にも、小さな神社が鎮座していることがあります。
このような小さな神社は摂社もしくは末社と呼ばれ、その神社や歴史にご縁のある神様がお祀りされています。
社務所
社務所とは、神職や巫女が事務作業などを行う場所です。一般的な会社の事務所と比較し、神社の事務所として社務所とされています。
神社によっては、お守りなどを頒布する「授与所」を社務所と兼ねている場合もあります。
絵馬殿
絵馬殿は、境内に設置されている、絵馬を奉納するための建物です。
参拝者は願い事や感謝の気持を絵馬に書き、神社に奉納することで神様に祈りを捧げます。
絵馬は現在のような手のひらサイズの絵馬に限らず、数メートルに及ぶ大きなサイズの絵馬も奉納されることもあります。
(参考)神社本庁『境内について』
正しい参拝方法とマナー
境内に入る際の心得
鳥居をくぐる際は、一礼してから。
鳥居をくぐる際には、外の世界とは異なる、神様のいらっしゃる神聖な空間に足を踏み入れることになります。そのため、目上の方のお宅を訪問するような気持ちで、一礼をしてからくぐるのが丁寧なくぐり方とされています。
心を落ち着けて参拝する
私たちは日頃から神様の恵みをいただいて生活している以上、神様へ敬意をもって参拝することは大切なことと言えます。
ですので、敬意を表するためにも、参拝する際には騒がしくするのではなく、心を落ち着けて丁寧に参拝しましょう。
参拝の正しい作法
「二礼二拍手一礼」
参拝作法は、長い歴史の変遷を経て、現在では「二礼二拍手一礼」の作法が基本となっています。
- 深いお辞儀を2回します。(二礼)
- 拍手を2回します。(二拍手)
- 最後にもう一度深いお辞儀をします。(一礼)
(参考)神社本庁『参拝方法』
神社によっては異なる場合も
全国の神社で「二礼二拍手一礼」の作法が行われていますが、一部の神社では特殊な拝礼の作法を行っている神社もあります。
例えば、島根県の出雲大社では「二礼四拍手一礼」という作法があり、三重県の伊勢神宮では、「八度拝・八開手(はちどはい・やひらて」という古来よりの伝統的な作法が今でも行われています。
ただし、これらはあくまで伝統的な参拝方法ですので、一般の私たちは作法の形にとらわれるよりも、どれほど心を込めて参拝するか、という点が大切です。
なので、通常通り「二礼二拍手一礼」の作法で参拝したとしても、心を込めて参拝さえしていれば失礼には当たりません。
(参考)出雲大社公式ホームページ『出雲大社での参拝はどのようにするのでしょうか?』
東京都神社庁『参拝と祈祷』
社務所や授与所での心得
お守りは大切に扱いましょう

お守りには、その神社の神様のお力が込められています。つまり、神様の分身のようなもの。
お守りを受けた後は粗末に扱わずに、大切に扱いましょう。
ご朱印は、参拝した人が頂ける参拝の証

ご朱印はもともと写経を納めた証としての印から発展し、現在では「参拝の証」として授与されるようになりました。
参拝の思い出や神様とのご縁を振り返るものとして頂戴し、スタンプラリーのように集めることが目的にならないよう注意しましょう。
ご祈祷とは、神職に願い事を取り次いでもらう儀式
ご祈祷とは、社殿に上がって神職に祝詞を読んでもらい、神様にお願いごとを伝える儀式です。
神職は「神様と参拝者との仲取り持ち」として、参拝者のお願い事を祝詞に込めて奏上してくださいます。
神社の前でお賽銭を入れて手を合わせるお参りに比べ、ご祈祷のほうがより丁寧なお参りの方法です。
知っておきたい神社の豆知識
お寺と神社の決定的な違い
信仰対象(仏像 と御神体)
お寺では「仏像」として仏教の開祖である仏陀や、菩薩などが祀られています。一般に公開されていることも多く、ご開帳として限られた日のみ一般公開するお寺もあります。
それに対して神社では、祀られているのは神様が宿るとされている御神体です。尊いものは直接目で見てはいけないという考え方のもと、一般公開されることはありません。
御神体となるのは、鏡や刀、岩や山など神社によって様々な種類があります。
建物(山門 vs 鳥居)
お寺と神社と共通して、境内と外を隔てる役割を担う建物があります。
お寺の場合は「山門」といい、この門より先は神聖な空間であることを示す役割を果たしています。
神社の場合は、鳥居がその役割を担います。鳥居は山門のように建物ではありませんが、ゲートのような形をしています。木製のものから石製、金属で作られているものもあり、様々な種類があります。
参拝方法(合掌 vs 二礼二拍手一礼)
お寺では、合掌し一礼する参拝作法が一般的ではありますが、宗派によって違いもあります。
- 合掌一礼します。
- 両手を静かに合わせし、日常の感謝の気持ちをもってご本尊にお祈りします。(手はたたきません)
- 合掌一礼します。
また、線香をお供えする場合や鰐口(わにぐち:銅鑼のような鳴らす仏具)がある場合は、「1.合掌一礼」の後に行います。
神社の場合は、二礼二拍手一礼を行います。
線香や鰐口など、道具が無いことも神社参拝の特徴ともいえます。
神社で行われる主な行事
初宮参り、七五三、厄除けなど
神社では神職とともにお参りする「ご祈祷」を行うことができます。内容は多種多様で、個人の願い事に沿った内容のご祈祷があります。
神社によっては、そこの神様のご利益に沿った特別なご祈祷を用意している神社もあります。

例大祭、新嘗祭など
神社では、「お祭り」と呼ばれる神事が年間を通して行われています。
お祭りとは、神様を喜ばせるための儀式であり、なかでも神社自体が行うお祭りとして例大祭や新嘗祭、その他多くのお祭りが全国の神社で行われています。
神様を喜ばせる方法によってお祭りの個性が表れる側面があり、お米や野菜などをお供えする場合や、舞を奉納する場合もあれば、お神輿に乗っていただき街中を人々と練り歩くこともあります。

お賽銭の意味とは?
元々はお米など収穫物をお供えしていた
お賽銭は元からお金を投げ込んでいたわけではなく、新しく収穫した作物や魚などを神様にお供えし、収穫を感謝したのが始まりと言われています。
8世紀末には、新しく鋳造した貨幣を神様に供えていた記録が見られ、収穫物だけでなくお金も奉納するものとして、社会全般に少しずつ浸透していきました。
お賽銭=神様への気持ちを表現すること
元来お賽銭とは、収穫物をお供えし自然の恵みへお礼の意味をもつもの。
なので、お賽銭の行為がお金を投げ入れる行為に変わったとしても、その本来の意味は変わることなく、神様への感謝の気持ちを表現することなのです。
(参考)國學院大學メディア『なぜ神社では、お金を入れてお祈りをするのでしょうか?』
神社によって得意分野がある?
神社や神様によって特徴があり、それぞれ異なるご利益がある
日本全国には多様な神社があり、それぞれ歴史や特徴、ご利益が異なります。
例えば、太宰府天満宮は菅原道真公を御祭神としてお祀りし、学業成就や合格祈願に特にご利益のある神社です。他にも、京都の伏見稲荷大社を始めとする稲荷神社は、五穀豊穣・商売繁盛のご利益が有名です。
神社によっては縁切りの神社も
多様なご利益のある神社のなかでも、特徴的なご利益の一つとして「縁切り」があります。あらゆる悪い縁を断ち切ることで、良縁へとつなげるご利益で、京都市の安井金比羅宮などが有名です。
こちらも、安井金比羅宮の御由緒が縁切りと関係のある歴史をもつために、「縁切り」というご利益が生まれました。
(参考)安井金比羅宮『安井金比羅宮について』
縁結びの神社は全国にある
縁結びの神社は全国的に多く見られ、なかでも有名な神社のひとつに、出雲大社があります。
御祭神は大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)です。この神様は、男女の縁だけでなくあらゆるものが共に栄えていくための「ご縁」を結んでくださるご利益で、大国主大神を御祭神として祀っている神社は全国にあります。
他にも、東京大神宮(東京都)や恋木神社(福岡県)など、大国主大神をお祀りしていなくとも、縁結びにご利益のある神社は全国に数多くあります。
(参考)大稲荷神社『神社の種類と違い』
出雲大社『出雲大社と大国主大神』
